動物のことわざ・慣用句12選
01
猫に小判
江戸時代の金貨「小判」は庶民にとっても高額な貨幣でした。その価値を理解しない猫に渡しても意味がないという発想から生まれたことわざで、江戸後期には庶民に親しまれたいろはかるたに採用され、広く定着したとされています。
02
猫に鰹節
江戸時代の学者・平賀源内の著書『根南志具佐』が出典とされることわざです。大好物の鰹節の番を猫に任せれば、油断した隙に食べられてしまう——という当たり前の懸念から、危険な状況を人に任せることのたとえとして使われるようになりました。
03
犬猿の仲
由来には複数の説があります。猟師が犬を連れて山に入ると、犬は人間に近づく猿を威嚇して激しく吠えたてたという狩りの現場の光景や、干支の並び方に由来するという説も伝わっており、仲の悪さを表すことわざとして定着しました。
04
泣きっ面に蜂
江戸時代に作られた「江戸いろはかるた」の「な」の札に採用されたことで広まったことわざです。同じ「な」でも上方かるたでは別の言葉が選ばれており、悪いことが重なる不運を表す表現として江戸の庶民に特に親しまれました。
05
蟻の一穴
中国戦国時代の思想家・韓非が著した『韓非子』に「千丈の堤も、螻蟻の穴を以て潰ゆ」という一節があります。堤防でさえアリのような小さな虫が開けた穴から崩れるという意味で、小さな油断が大きな失敗を招く戒めとして語り継がれています。
06
蟷螂の斧
中国の書物『韓詩外伝』に記された故事に由来します。斉の荘公が狩りに出た際、一匹のカマキリが前脚を振り上げて馬車に立ち向かってきました。従者から「退くことを知らない虫です」と説明を受けた荘公は、その勇敢さに感心して馬車を避けさせたと伝えられています。
07
鴨が葱を背負ってくる
鴨鍋には葱が欠かせない食材です。鴨がその葱まで背負って現れれば、すぐにでも鍋が作れるという、あり得ないほど都合のよい状況を思い描いたことわざとされています。江戸時代には鴨と葱を使った「鴨南蛮」というそば料理も誕生しました。
08
とんびに油揚げをさらわれる
トビは獲物を見つけると素早く空から舞い降りて奪う習性を持つ猛禽類です。神社へのお供え物を持ち去ったという説も伝わっており、大切なものを不意に横から奪われる驚きを表すことわざとして定着しました。
09
狸寝入り
タヌキは強い刺激を受けると体が動かなくなる「擬死」と呼ばれる防衛反応を見せます。攻撃を受けても無傷のまま死んだふりのように動かなくなる様子が、都合が悪いときにわざと寝たふりをする人間の行動にたとえられるようになりました。
10
亀の甲より年の功
本来は「亀の甲より年の劫」と書かれたことわざです。「劫」は仏教で使われる非常に長い時間の単位で、亀の甲羅を表す「甲」と同じ読みであることから語呂を合わせて結び付けられました。万年生きるとされる亀になぞらえ、年長者の経験を敬う言葉として使われています。
11
河豚は食いたし命は惜しし
江戸時代の滑稽本『人心覗機関』が出典とされることわざです。フグは美味な魚ですが毒を持つため、食べたい気持ちと命を落とす恐れとの間で揺れる心情を表しています。危険を承知の上で欲求を捨てきれない状況全般を指す言葉として使われます。
12
能ある鷹は爪を隠す
戦国武将・北条氏直の言葉をまとめた『北条氏直時分諺留』が出典とされることわざです。鷹は鋭い爪を持ちながら、獲物を捕らえる瞬間まではその爪を隠しています。真に実力のある者ほど、普段はそれをひけらかさないという教えとして使われています。