綾解き

大人も意外と読めない?
動植物の難読漢字15選

知っているのに漢字で見ると読めない——
動物・植物・魚介の漢字表記と、その由来を紹介します。

難読漢字とは

難読漢字とは、一般的な漢字の読み方のルールから外れていたり、複数の読み方が存在したりするために、正しく読むのが難しい漢字のことです。動物・植物・魚介類の名前には、中国語から借用した漢字をそのまま音読みや意味で当てた「当て字」が多く、日常で頻繁に使う言葉でも漢字では読めない、ということが起こりやすいカテゴリです。

以下の15例は、日常生活でよく知っているはずなのに、漢字で書かれると読み方が思い出せない代表的なものです。由来とともに覚えると記憶に定着しやすくなります。

動物・海の生き物

海豚
いるか
動物
海に生息し、ずんぐりした胴体が豚(豚)に例えられたことから「海の豚」と書きます。
中国語の「海豚(hǎitún)」が日本に伝わった字。体型が豚に似ていることに由来するとされます。
海星
ひとで
海の生き物
海に棲む星形の生き物。体の形が星(☆)に似ていることから「海の星」と書きます。
中国語では「海星(hǎixīng)」。「ひとで」という和名は、人の手(指を広げた形)に似ているからとも言われます。
海月
くらげ
海の生き物
海を漂う様子が月のように見えることから「海の月」と書きます。
水中をゆらゆらと漂う半透明の姿が月(水面に映る月)に例えられたとされます。「水母」とも書きます。
烏賊
いか
海の生き物
カラス(烏)が死んだふりをしたイカを食べに来たという中国の伝承に由来するとされますが、俗説の域を出ません。
中国語「烏賊(wūzéi)」がそのまま日本語に入った字。語源については諸説あり、確定していません。[1]
翡翠
かわせみ
動物
「翡」は雌(赤褐色の羽)、「翠」は雄(青みがかった羽)のカワセミを表す字です。
カワセミのオスとメスで羽の色が異なることから、二字で一種の鳥を表す珍しい用法です。宝石の「ひすい」も同じ字(翡翠)ですが、読みが異なります。
蝸牛
かたつむり
動物
「蝸」は巻貝の形をかたどった字で、「牛」は牛の角に似た触覚を表します。
中国語「蝸牛(wōniú)」が由来。「まいまい」「でんでんむし」など地域によって呼び名が異なります。
百足
むかで
動物
「足が百本ある生き物」という意味で書きますが、実際に百本あるわけではありません。
中国語「百足(bǎizú)」に由来。種類によって足の数は異なりますが、「非常に足が多い」ことを誇張した表現です。

魚介・海産物

秋刀魚
さんま
秋が旬で、細長い体が刀に似ていることから「秋の刀のような魚」と書く当て字です。
秋刀魚という漢字表記が定着したのは近世以降とされ、古くは「佐牟利(さむり)」「散魚(さんま)」などと記録されています。[2]
河豚
ふぐ
川(河)に棲む豚のような魚という意味の字です。膨らんだ体つきが豚に例えられました。
中国語「河豚(hétún)」が由来。フグは海水魚ですが、揚子江のフグが中国では川に棲むとして「河豚」と呼ばれたとされます。
さけ/しゃけ
魚(魚偏)に「圭」。魚へんの漢字は多くが中国語由来ですが、この字は国訓(日本独自の読み方)です。
中国語では鮭(guī)は別の魚を指します。日本でサケに「鮭」の字を当てたのは和訓(日本独自の読み方)で、中国語と同じ字でも意味が異なります。

植物・果物

向日葵
ひまわり
植物
「向日」は太陽に向かうという意味で、「葵」はアオイ科の植物。ヒマワリは花がつく前に太陽の方向を向く性質があります。
「太陽に向かうアオイに似た花」という意味の字です。ただし開花後は花の向きは固定されます(太陽を追うのは成長段階)。[3]
無花果
いちじく
植物
「花がないように見える果実」という意味の字です。実際には花が果実の内側に咲いているため外から見えません。
中国語「無花果(múhuāguǒ)」が日本語の発音「いちじく」に当てられたものです。「いちじく」の語源はペルシャ語起源のアラビア語「injīr」がポルトガル語「figo」を経て伝わったとも、古語「一熟(いちじゅく)」に由来するとも言われています。[4]
石榴
ざくろ
植物
中国語「石榴(shíliú)」をそのまま日本語読みした字です。
原産地はイラン周辺で、中国には「安息国(現イラン)」から伝わったとされます。「ざくろ」という読みは日本語独自の音です。
蒲公英
たんぽぽ
植物
中国語「蒲公英(púgōngyīng)」をそのまま当てた字です。なぜ「たんぽぽ」と読むかについては諸説あります。
「たんぽぽ」という和名の語源は不明な点が多く、確定的な説はありません。「つづみぐさ」など地方名も多数あります。蒲公英の字は中国語から借用したものです。[1]
木天蓼
またたび
植物
「猫にまたたび」でおなじみの植物。中国語「木天蓼(mùtiānliǎo)」が由来です。
猫がマタタビのにおいに反応して酔ったような行動をとるのは、マタタビラクトンという成分が原因とされています。「またたび」の語源は諸説ありますが、漢字は中国語からの借用です。

番外編:食べ物の難読漢字

心太
ところてん
食べ物
心(こころ)太(ふとし)と書いてところてん。心太(こころぶと)という古語が転じた言葉です。
テングサ(天草)という海藻から作られる食品。古くは「こころぶと」と呼ばれていたものが変化し「ところてん」になったとされます。「心太突き」という専用の器具で押し出して作ります。
白子
しらこ / しらす
食べ物
「しらこ」は魚の精巣(タラ・フグなど)、「しらす」は稚魚(イワシやカタクチイワシの稚魚)を指す場合があり、同じ字で読みが異なります。
どちらも「白い子(卵・稚魚)」という意味を持つ和語表現。文脈によって読み方が変わる珍しい例です。
玉蜀黍
とうもろこし
食べ物
「玉」は丸く輝く実、「蜀黍」は中国語でモロコシ(キビに似た穀物)を表します。「唐(外国)のモロコシ」という意味が転じた当て字です。
中国語「玉蜀黍(yùshǔshǔ)」由来。メキシコ・中米原産で、南蛮貿易を通じて16世紀頃に日本に伝わりました。「南蛮きび」とも呼ばれていました。
鳳梨
パイナップル
食べ物
鳳(おおとり)の頭に梨の形——王様の鳥のような見た目の果実という意味の字です。
中国語「鳳梨(fènglí)」がそのまま使われた漢字表記。台湾では現在も「鳳梨」が一般的な表記です。「パイナップル」という名称はオランダ語や英語経由で日本に広まったカタカナ表記です。
豌豆
えんどう
食べ物
「豌」は丸くて小さい豆を表す字で、中国語「豌豆(wāndòu)」から来ています。
「えんどう豆」として親しまれている豆類。さやえんどう・グリーンピース・スナップエンドウはすべてえんどう豆の一種です。原産は地中海沿岸から中央アジア地域とされ、西アジア経由で中国・日本に伝わりました。

難読漢字と言葉当てゲーム

綾解きの生き物・食べ物・植物ジャンルには、こうした難読漢字の読みがそのままひらがなで出題されます。「烏賊」→「いか」、「秋刀魚」→「さんま」のように、漢字での表記を知っておくと「このひらがなは何の動物・植物だろう?」という推理の幅が広がります。

💡 難読漢字を覚えると、漢字の成り立ちや動植物の特徴への理解も深まります。ゲームのヒントとしてだけでなく、語彙力アップにも活用してください。

参考文献

  1. 小学館 日本国語大辞典(第2版). 各項目参照.
  2. 小泉武夫(2018).『発酵食品学』講談社学術文庫. ほか秋刀魚に関する歴史的記述を参照.
  3. Darwin, C. (1880). The Power of Movement in Plants. ヒマワリの日光屈性に関する研究.
  4. 貝原益軒(1709).『大和本草』. いちじくの記述参照.
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